歯のお話

2013年4月 5日 金曜日

山口歯科医院通信vol.1歯周病について



                     

口の中には400種類以上の細菌が住んでいます。歯周病の原因となる細菌はその中のほんの数種類です。しかしそのような細菌は時間とともに丈夫な膜状の構造いわゆる歯垢(専門的にはプラークやバイオフイルム)となり、歯垢が硬く石灰化し歯石となります。歯石の表面はざらざらなのでさらにその上に多くの歯垢がつきます。歯周病原細菌からの毒素やそれに対する体の免疫反応により歯の周りの組織が破壊されます。
 しかし歯周病は初期の段階では特に自覚症状がなく、進行にともない歯ぐきからの出血や口臭、中等度から重度になると歯が動くためかめなくなったり歯ぐきが腫れて膿がでたりし最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯が抜けるのは自然の老化現象ではなく歯周病によるものが多く、予防や進行をできるだけ遅らせられる病気です。

正常な歯周組織
歯周病の組織

 歯周病治療ではおもに口の中の細菌の数を減らすことです(歯垢や歯石除去)。しかし1度きれいに細菌を除去しても歯と歯ぐきの間の溝(専門的には歯周ポケットといいます)内では歯ブラシが悪い場合は数週間、歯ブラシがよくても数ヶ月で歯垢が付着してきます。そのため歯磨きもひとつの方法ですがそれだけではまったく十分ではありません。なぜなら硬い歯石などは歯ブラシではどんなにこすっても除去できず、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の中の歯垢や歯石は歯ブラシの毛先が溝の中に一定の深さしか届きません。そのためその先は細菌が繁殖が進み歯周病が進行するため歯と歯肉の溝の中などは専門的なクリーニングが必要となります。

◎まとめ

①歯周病の1番の原因は歯周病原因菌による毒素や免疫反応により歯の周りの組織の破壊でおこる病気です。歯垢は食べかすや歯から出た汚れではなく口の中の細菌の塊です。これらを歯磨きと専門的なクリーニングを行い低く維持することが大切です。それらにより進行のスピードを遅くさせます。また、まだ歯周病が発症していない方や初期の方は早期にクリーニングを始めた方が 進行してから開始するより発症を予防したり進行をさらに遅くすることができます。

②歯周病は細菌の感染症ですが悪化させる因子として喫煙、遺伝的素因、ストレスや生活習慣、食生活の乱れ、性差(特に女性。妊娠中や更年期(詳しくは女性と歯周病編))などがあります。その中でも最もリスクのあるものは喫煙です。喫煙者はタバコを吸わない人に比べ約3倍以上のリスクがあり歯周病治療に対する組織の反応がよくないことが多いです。また禁煙後もとに戻るには約10年程度かかるともいわれています(詳しくはタバコと歯周病編)。またすでにご家族や近親者に重度の歯周病の方がおられる方は遺伝的素因をもっておられる可能性があるため要注意です。

                                  



投稿者 山口歯科医院

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